13.<かえで>

 まぁ実に下らんことをよくもこうだらだらと書き続けられるもんだなぁ・・・と、全国の皆様さぞ呆れかえっていらっしゃることと存じますが、でも仕方ないのです。そもそもこの旅からして立派な目標をかかげて出発したことではなく、何だかよく分からんがまぁとにかく行ってみるか、と云った程度のものだったのですから。
 それでまだまだ旅行は続くのですが、このへんで寄り道をして私にもほんのちょっぴりばかしは真面目なところもあるんだというところを知っていただきたいと思います。
 思えばこの世に生を受けて以来、初めてのことだらけだったこの旅には、びっくりしたことや感動したこと、驚いたこと、あきれたことなどいろいろありました。その感動したことの一つに国旗のことがあります。そう、カナダの国旗です。

 楓(かえで)はカナダの人々の生活とは切りはなすことのできない樹です。スモ-クサ-モンは楓の煙で燻すのであんなにもおいしくなるんだとか。
 またカナダでは砂糖の代わりに使われると云う甘味料にメープルシロップがあります。これはかえでの樹液を煮詰めてつくるとか。このメープルシロップの特徴ある風味は一度味わったら忘れられません。私は子供時代赤砂糖(三温糖)で育ったので少し分かるように思いますが、それよりももっと風味の強いメープルシロップで育ったカナダの人々にはきっと特別の想いがあるにちがいありません。
 こうしてカナダの自然と人々の生活に深くとけこんだ楓の葉が国旗に描かれているのです。

  街中のカナダ国旗
  街中のカナダ国旗

 楓の国旗はあちこちに立てられています。公共施設はもちろん、小さな商店やガソリンスタンドにまで立てられているのです。そして国旗以外にもこのマークは町中のいろんなところに見られます。観光みやげから、たばこの箱にまでそっと小さく遠慮気に描かれています。
 ちょっと意識して眺めるとみんなが楓の葉っぱにつつまれているみたいです。それはあたかも大自然をみんなで守りいつくしみ、またその大自然に守られて生きているんだと云うカナダの人々の想いや願いを象徴しているように思えたのです。こんなのは私の勝手な空想かも知れませんが、それでもいいんです。
 そして我が祖国日本に思いを馳せたとき、日の丸を思い出してモォ-、情けなくって仕方ありませんでした。軍国日本のシンボル日の丸、ヤ-さんや極右団体があがめ奉る日の丸にはホント寒気がします。
 さらにマエハタガンバレやフジヤマノトビウオ以来オリンピックなどの国際スポ-ツ競技大会の応援やメダル獲得と云ういわば国民的な感動の場で利用されてきた日の丸(これは「君が代」も同じことです)・・・
 私はカナダと云う国についてあまり勉強してないので、あのすてきなかえでの国旗がどんな歴史を持っているのか知りません。だからもしかしたらこんなきれいごとではすまされない何かがあるのかも知れません。でもそこは素人の強みです。知らないことは勝手な空想で補ってしまいましょう。(尚のその後の調べによれば、この国旗は1964年に議会で決定され、翌年の2月15日に掲揚式が行われたそうです。)
 そこで、わが日本にもみんなが心底愛せるような国旗があったらなぁと考えてみたのです。でもなかなか簡単にはいい知恵が浮かびません。よぉっくよく考えたら私にはその方面のセンスがまるっきりないことに気がつきました。どなたかこのへんを補っていただけたら大変嬉しいのですが・・・。
 
 余談になりますが、今回の旅で楓の木には一本も遭遇しませんでした。高山地帯ばかりまわったため、あるのは全て針葉樹でした。楓などの広葉樹は国の東側にたくさん生えているのだそうです。