7.<一万年の旅>

 バンフの街をさまよった挙げ句、やっとたどりついたホテルでは安心もあってかぐっすりと眠ることができました。簡単な朝食をとったあと荷物をまとめてロビ-に出ると、Ozaki君が待っていました。彼はこのホテルのすぐ近くに住んでいるんだとか。
 また彼の運転で出発です。バンフは古い観光都市なのでいいところが多いらしいのですが、今回はあきらめてさよならしました。
 

 車はハイウェイを突っ走って一路大氷原へと向かいました。ハイウェイと云ってもただ道があるだけと云う感じで、何の飾り気もありません。行き交う車もほとんど無く、渋滞が当たり前というどこかよその国の高速道路とは比べようもありません。

 道はロッキーの山々を縫うように続いています。きのう真上から見下ろしておったまげたあの山々を今度は下から眺めることになり、そのすさまじい景色にただただ感動するばかりでした。

        ハイウェイを横切るエルク
        ハイウェイを横切るエルク

  もう一つ印象的だったのは動物たちです。カモ鹿を大きくしたようなエルクと云う動物があちこちで見られました。それもハイウェイのすぐ近くまで来てのんびりと草を食べているのです。(草なんてほとんど生えていないように見えるんですが・・・)Ozaki君の話では冬は木の皮を食べているとか。  熊に会えないかと思っていたのですがついにあらわれませんでした。そのかわり以前テレビで見たマウンテンゴートが二頭、はるか山の上に見られました。マントを着たままでしたが。

          動物のための歩道橋
          動物のための歩道橋

 ここは広大な国立公園で、動物たちは手厚く保護されているとのことです。ハイウェイには動物たちが安全に行き来できるようにと、何ケ所も歩道橋が設けられていました。歩道橋といっても階段のついたあれではなく、山から山へと動物達が人間に邪魔されることなく歩けるように橋が架けられているのです。ですから車は、小さなトンネルというか、橋の下をくぐるといった感じです。

 もう一つ印象的だったのは水です。大きな川が流れている一方で、あちこちに湖がありました。それがほとんど凍りついているのです。
 Ozaki君が氷河の見方を教えてくれました。なるほど良く見ると雪のつもっているところと氷河は色が違う。氷河はいくぶん青みがかっているので慣れてくるとすぐに分かるようになりました。山のあちこち、深い谷になっているような所には必ず氷河が見られました。地球の歴史上四回あった氷河期のうち一番最近のが約一万年前だと云いますから、今ある氷河は少なくともそれ以前から続いているものだと云うことらしいです。
 こんな話をしながら車はコロンビア大氷原を目指してひたすら突っ走りました。

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