8.<続・一万年の旅>

 いよいよコロンビア大氷原の近くまでたどり着きました。さすが大氷原と名付けるにふさわしく、これまでに車の中から見たたくさんの氷河とはスケールが違って、とてつもなく大きなものです。
 ここでOzaki君の車をおりて、大きなバスに乗り換えました。バスには日本人観光客がいっぱい。初めて他の観光客と行動を共にしました。運転手は日本語が少しできるひょうきんなカナダ人、ガイドはベテランの日本人でした。

 バスに乗ったのはわずか数分で今度は雪上車に乗りかえです。雪上車はタイヤが直径1メートル半ほどもある大きなもので、雪の上をゆっくりゆっくりと登って行きました。
 そして氷河の上に出るとみんな雪上車をおりて・・・ジャーン!!ついに一万年前の歴史的氷河の上に立ったのです。雪が厚くつもっているので、直接氷河に触れたことにはならないのかな?  氷河はその名のとおり少しづつ下に流れているんだそうで、暖かい年には先端が上昇し寒い年には下に伸び、それをくり返しているとか。ふうん、なるほどなと納得しながらガイドさんの説明を聞いていました。
 よく見ると氷河のずうっとはるか上の方に人が二人見えるのです。あれはスキーヤーが上に登って行くんだと聞いてびっくり。あんなに上なのにまだ登っていくんです。スキー場ではないのでリフトはありません。できるだけ高く登って一気に滑り降りるんだそうです。この大氷原でスキーを楽しむなんて贅沢なやつらだなぁ、でも気持ちいいだろうなぁ、おれもあと10年若かったらなぁ、なんてことを考えながら我々も氷河の上に寝転んだりしてけっこう楽しんできました。

    大氷河を溶かす悪い観光客
    大氷河を溶かす悪い観光客

 でも地球温暖化のせいで氷河は年々融けて小さくなっている、つまり先端が上昇し続けているんですね。やがてこの歴史的産物は人間のために消え去る運命にあるのかも。それに毎日まいにちこうして観光客がやってきて氷河を溶かしている。もちろん自分たちもその一人(三人?)ですが・・・。そう考えるとなんだか複雑になってきました。その観光のために生活している人も多いんだろうし、第一カナダの国そのものが観光を重視しているらしいからむずかしいぞこれは。
 そして時間が長かったのか短かったのか分からないままに予定を終わりました。また雪上車に乗り込みさっきと別のルートでバスにも乗り、それからOzaki君の車に戻って、いよいよ今日の宿泊地ジャスパーに向けてまたハイウェイの旅が続きました。

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