20.<ハイジャック未遂事件(3)>

 多くの方からの懸賞への御応募ありがとうございます。でも残念ながら正解者は一人もいませんでした。どなたでも簡単に分かって下さるものとして始めたのですが、ちょっと難しかったのかなぁ。困ったことに用意した賞品が全部のこってしまいました。そこで『正解者の中から10名』だったのを『応募者の中から抽選で10名』と変更することにしました。ご了承ください。

 それで事件の続きですが、最初の宿泊地バンフのホテルに着いてすべてが明らかになりました。三人のリュックをさかさまにしてテーブルの上に荷物を出したところ、何となんと私macky3の荷物の中に刃物があったのです(これが懸賞問題の正解です)。

 空港での検問で懸命に探したのはA子の荷物だけだったので、これでは見つかるはずがありません。検査官もいい加減なもので、この中にあると言う犯人の言い分を信じきって、一緒に探知機をくぐった私の荷物についてはノータッチだったのです。

 こうして凶器は無事国境を越えてカナダ入りしました。

 一つ訂正があります。前に「刃渡り数十センチ」と書いたのはほんの少しだけ違いました。刃渡りは数センチでした。ミスタイプで「十」が余分だったみたいです。それから「鋭利な刃物」も違うみたいで、鈍い果物ナイフでした。ホテルで果物でも食べる時のために持ってきたとかいうことです。

 小さな果物ナイフとは言えその気になれば立派な凶器になりうるものですが、機内でこれを出すことはありませんでした。ハイジャックしようと思えばできたのに、何もしないでしまったのはなぜでしょう。もしハイジャックしたとしたら機長に何を要求したでしょうか。

 それは多分燃料のある限りロッキーの上空をいつまでも飛び続けろと言うことでしょう。そうすれば他の乗客にも喜ばれたでしょう。仕事などで先を急いでいた人には、少しだけ我慢してもらわなくっちゃいけませんが。  それをしなかったのは多分すばらしいロッキーの山々に見とれてポカァンと口をあけていて、ハイジャックのことなどすっかり忘れてしまったからだと思います。ほんと、あの情景はこの世のつまらないことや醜いこと、些細なこと、どうでもいいことなどなど、すべてを洗い流してくれる不思議な魅力でいっぱいです。