16.<バンクーバー>

 懐かしのバンクーバーに戻って参りました。といっても前回は乗りかえのために空港の中を歩いただけ。町を歩くのは初めてです。

 列車の旅を終えて駅前に出ると、こんどはツカモトと云う案内係の人が待っていました。ツカモト君の運転で市内めぐりです。

 公園、水族館、吊り橋、トーテンポール、シャチの曲芸、高級住宅街その他いろいろ見てまわりましたが、一番印象に残ったのは市場(いちば)です。下町のショッピングセンターと云った感じで、カナダの人々の生活の匂いがいっぱいでした。野菜も魚も肉もみんなみんな、日本のスーパーマーケットのように細かく切りそろえたりしてなくて、ドーンとそこに置いてあると云った感じです。りんごジュースは3.8リットル入りで、びんや紙パックではなくポリエチレンのタンクで売っています。肉にしてもコマギレを小分けにしてトレーに盛り付けてあるのとは違い、大きな塊で買っていくみたいでした。

 果物売り場には種類も量も豊富な品物が山のようにあって、いい匂いがいっぱいだったのですが、これにだまされてはいけません。

     味もそっけもないカナダの果物
     味もそっけもないカナダの果物

今までの食事でデザートには必ず果物がつきましたが、うまいと思ったことはいっぺんもありません。色はまぁまぁですが味もそっけもない。カナダの果物ほど味気ないものはないですヨ。輸入ものもたくさん売っていましたから、いい匂いはきっとこのせいでしょう。我々もなんとか云う名前の熱帯果物を買って、ホテルで味わいました。今までの欲求不満解消と云うわけです。うまかったぁ。

 話はちょっとそれますが、カナダでうまいものの代表はなんと云ってもスモークサーモンです。北の海でとれた大きな鮭を楓の煙で燻したやつです。これがあるからまたカナダへ行きたくなるのです。そしていつかまたカナダに行って思いっきり腹一杯スモークサーモンを食べてやろうと夢見ています。

 町中をドライブしているとき、ツカモト君が「ほら、コンビニがありますよ。」と教えてくれました。なるほど見なれた”セブンイレブン”の看板が通り過ぎていきました。私が「興醒めだなぁ。もっともあれは世界中どこに行ってもあるんだろうけど..」と嘆くとツカモト君いわく「いや、あれは面白いから見ておいた方がいいですよ。」とのこと。“無信全疑(半信半疑?)”のコンビニ訪問と相成りました。

 中に入ってみると店がせまいこと・・・いや店がせまいのではなく、ものが一杯で通路がせまいのでした。そして市場とは商品の性格は少し違っても、とにかくみんな大きいのです。おにぎりこそありませんでしたが、でかくて分厚いサンドイッチがいっぱい積み上げてあります。あの一包みがたぶん一人前だと思います。我々三人でも食べきれないくらい大きい。牛乳は4リットルのタンク入りです。あれもすぐに飲み干されちゃうんだろうなぁ、と思いながら「見てるだけぇ〜」を終えました。

 この日のホテルが最後の宿泊です。明日はすてきなカナダの大地におさらばして空の旅となります。うん、また上空から地球をたっぷり眺めてやろうと企んだのですが、何だか空模様がすぐれません。

      「カナダ晴れ」?
      「カナダ晴れ」?

 旅の前半はそれは見事な日本晴れ・・・いや、つまりそのぅ、これってあちらでは「カナダ晴れ」とでも言うんですかねぇ。後半は降ったりやんだりでした。想い出が旅の前半に多いのはきっとそのせいです。はたして明日は・・・